










ポポタム18周年記念グループショウ(後期)の出展作品です。
タイトル:POPOTAME CHAEKGEORI ポポタム的冊架図
フレームサイズ:約280mm × 約385mm
画材:ミクストメディア、一部に箔
佐々木未来さんはコロナ真っ只中にそのお名前を知った作家さんです。
お店に来てくださったり、ご自身で作られた小さな冊子を見せていただいたり。
また365日の日めくりに7年間絵を描いていくという根気強い制作活動もされていて、表に見えるイラストレーションだけでなく「自分ができること」として絵を描くという行為を積み重ねながら、社会と関わり生きている方だと感じています。
存じ上げてまだ一年未満の作家さんですがグループショウにお声がけして、持ってきていただいた作品を見たときに思わず「やった!冊架圖!」と心の中で叫んでしまいました。
この冊架圖(さっかず)または文房図と呼ばれる絵画は朝鮮の伝統的な民画の1スタイルで、書棚や文房具など書斎まわりのモチーフが風景のようにレイアウトされて、めでたい吉祥文様と共に描かれます。
柘榴や虎、鹿、器に描かれた蝙蝠や双魚。天使みたいな唐子や蝶。そして画面下には大きく口を開けたカバが。(足元には霊芝も)
色使いの濃淡とポイントのゴールドがポップで品よく、伝統と現代の感性がいい塩梅でミックス。伝統的な縦長のサイズそのものにするのではなく、(全体のバランスはデッサン額の規格におさまるよう)上下左右にご自身で表具を施しています。
見れば見るほど佐々木さんは冊架圖がただ好きで取り入れているだけではないことがひしひし伝わってきて......
それは勉強して訓練して自分のものにするだけでなく、もう一つ向こうの、自分そのものが絵の中に入ってしまうような、そんな感覚に近いのではないでしょうか。
というのは個人的な感想ですが、いつか本好きの作家さんたちにお声がけして冊架圖をテーマにした展示をしてみたい(でも上っ面にならないように)とずっと思っていたこともあり、教わるものが多い一枚でもありました。
夢で見たけど輪郭しか思い出せない絵があった。その絵がある日とつぜん目の前に現れた。
懐かしくて新しくて心にストンとおさまる、そんなミラクルな一枚です。
以下、作家コメントより。
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画面右隅の消しゴム彫印の〈瑞風萬里〉は、〈良い風がどこまでも吹いていきますように〉という好きな言葉です。
また、唐子が読んでいるのは袁枚の〈偶然作〉という漢詩です。
なにかに夢中になっている人にうたってほしい詩です。
展示会場での撮影:香川賢志