





ポポタム18周年記念グループショウの出展作品です。
タイトル:girl 07
フレーム込 サイズ:265mm×322mm
漫画家の森泉岳土さんは「ランバーロール」という漫画と文芸のアンソロジーを主宰されていて、その取り扱いをきっかけにお付き合いがはじまりました。
素敵な絵、きれいな線だな...とは思っていたけれど、その描き方を知ったときにはショックを受けました。
紙に下書きをしてから水を含んだ筆で描き、そこに墨を落として描いていくという方法で(ドロッピングとは違って滲みを広げず)、爪楊枝や割り箸でその落とした墨から線を引き細部を描く... というもの。
なぜこんな!(面倒な...)という驚きも、森泉さんの漫画を読むと、ストンと腑に落ちます。
多くの漫画が持っている高揚やメリハリの対岸にある、余白、静寂、思索の時間、言葉にしないもの、置き去りにされそうなもの、行ってはいけない場所... そういった一言では言えない時間がかかるものを表現していて、「墨をつけたペンで直接サッと引いた線」では描けないものを描いているんだなと、納得したのです。
この作品は、一人の女性。
ほおづえをついて、少しだけ微笑んで。右に広く空間がとられていて、しゃがんでいるようにも見えるし、高いところから下を眺めているようにも見えます。
何を見ているんだろう。
野良猫がご飯を食べているところ?窓の下を子どもが下校しているところ?
こんな穏やかで自然な笑みが浮かぶ光景が、その向こうにあればいいなって思います。
写真撮影:香川賢志